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資産運用・金融の歴史

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2009年7月18日 (土)

一般投資家が儲からない本当の理由(脳科学と資産運用)

昔、平成バブルのピークであった1989年。
私が証券会社に入社して1年ぐらいの頃でした。
先輩証券マンを見ていて、以下二通りのタイプがあることに気付きました。

① 投資家を儲けさせている証券マン
② 投資家に儲けさせていない証券マン

さて、①の証券マンと、②の証券マン、どちらの方がお客さんが多かったかわかりますでしょうか?

 

P1

 

答えは

圧倒的に②の証券マンでした。

そして驚くべきことに、お客様から好かれているのも②の証券マンでした。

 

P2

 

これはたまたまだったのでしょうか?

いえ、このことは私の20年にわたる営業経験と研究から、必然であったと確信しています。

なぜ、儲からない証券マンが好かれるのか?

それは

投資家が儲からない提案を好むから。

儲からない提案をする証券マンが好き。

 

P1a

 

皆さん、そう思われるかも知れません。

しかし、これは事実です。

以下の例を見ていただければ、少しはわかっていただけるでしょうか。

証券マン:

このA株とB株どちらも○○という理由で相当割安ですので、近い将来上昇すると思います。
過去のデータからも底堅いようですし。

投資家:

うん、確かにあなたの言うことはもっともだ。
両方とも2倍以上になる可能性は充分だな、下げても1割以上はここから下がらんだろう。
よし、両方とも100万円ずつ買っておこう。

 

―2ヵ月後―

 

投資家:

少しお金が必要になったんだ。
A株とB株、どちらか売りたいんだが……

証券マン:

現在、A株は120万円に上がっていますが、B株は80万円に値下がりしています。

さて、A株とB株、どちらの株の売却を勧められた方が、投資家は嬉しいでしょうか?

 

P3

 

先ほどの分類で言えば、

① の投資家を儲けさせている証券マンは、躊躇なくB株の損切りを勧めます。

この例では、最初の儲かる理由に沿っているのはA株です。1割以上の損はないと考えたはずなのにB株はすでに2割も下落し、最初の買う理由から明らかに逸脱しています。

 

しかし、投資家はその提案にこう思います。

 

“B株、倍になると思ったのに損かよ、損するのは嫌だな。倍は無理でもトントンぐらいにはなるんじゃないかな”
“こいつは俺の考えが間違っていたと言うんだな、嫌な提案だな”

 

逆に②の投資家に儲けさせていない証券マンは、最初の購入理由のことは考慮しません。

いかにしたらお客様に喜んでいただけるか(目先のことではありますが)を考えます。

投資家は損をするのが嫌いです。
投資家に儲けさせていない証券マンはこう言います。

証券マン:

A株を売って堅く20万円利益を確保しておきましょう。
B株もそのうち反発して利食いになりますよ。なにせ良い株なんですから。

 

投資家は考えます。

 

“確かに今A株売れば20万円の利益か、もしこの後下がって利益がなくなったらばからしいしな”

“それに俺の考えは間違ってないよな、こいつは俺の考えをよく理解している。いい提案だ”

 

さて、結果はその時によって違うかも知れませんが、私が見てきた中では、小幅な利益を確保した後、上昇するA株、損切りを躊躇した後、下落しつづけ塩漬けになったB株というケースが非常に多い気がします。

 

このような②の証券マンと投資家が行き着く先は、小幅な利益が続く売買帳と評価損で身動きが取れなくなった投資残高です。

 

あなたが、

 

P4

 

と言うのであれば、この先を読む必要はありません。

あなたは自分の意思で合理的に損益を管理する能力のある方です。
どんな経済環境においても資産運用のことで狼狽することはないでしょう。
稀に見る意思と能力を持った方です。

 

そして、

 

P5

 

という投資家の方、

なぜ、自然に儲からない行動をしてしまうのでしょうか。

 

その原因は「ドーパミン」など脳内物質の働きにあるのです。

「ドーパミン」というのは快楽を感じる時に発生する脳内物質です。

つまり、「ドーパミン」が発生する(気持ち的に楽な)ような運用をしていると、投資というのは儲からない仕組みになっているということです。

このことは、学術上からも、行動経済学⇒神経経済学という流れにのって明らかになりつつあります。

 

この心地よい感情に従うと儲からない仕組みというものを以下3つのパートに分けて、次回以降わかりやすく説明したいとおもいます。

損益が大きくなるほど鈍感に(感応度低減)
損の痛みは利益の2.5倍(損失回避)
なぜそうなるの、脳の働き(神経経済学)

 

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コメント

1989年12/30
までは日経平均は右肩上がり、保有の時代

面白く遊ばせてくれれば贔屓される時代。


貴殿が株界に入ってからは、運用の時代。
リスク管理とのたまうが、リスクにも良いリスク、悪いリスクが
あるんです。ちょっと一言・・・・

結論は、変動についてゆくだけだと思われますが?

投稿: okina | 2010年10月 8日 (金) 21時23分

okina様

コメントありがとうございました。
ファイナンシャルアドバイザーの役割は、リスクと不確実性の違いを理解したうえで、個々の投資家に合ったリスクの取り方と情報を提案することだと思っています。
結論は同じかもしれませんが、日々、Plan-Do-Checkのサイクルを地道に繰り返すことが重要と考えています。

投稿: 匠 | 2010年10月10日 (日) 17時06分

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