国債が沢山殖えても全部国民が消化する限り、すこしも心配は無いのです。
国債は国家の借金、つまり国民全体の借金ですが、同時に国民が其の貸手 でありますから、国が利子を支払つてもその金が国の外に出て行く訳でなく 国内に広く国民の懐に入っていくのです。
一時「国債が激増すると国が潰れる」 といふ風に言はれたこともありましたが、当時は我国の産業が十分の発達を遂げてゐなかった為、多額に国債を発行するやうなときは、必ず大量の外国製品の輸入を伴ひ、国際収支の悪化や為替相場、通貨への悪影響の為我国経済の根底がぐらつく心配があつたのです。
然し現在は全く事情が違ひ、我国の産業が著しく発達して居るばかりでなく、為替管理や各種の統制を行つて居り又必要なお金も国内で調達することが出来るのでして、従つて相当多額の国債を発行しても、 経済の基礎がゆらぐやうな心配は全然無いのであります。
昭和16年 大政翼賛会発行 『隣組読本 戦費と国債』の第六章 国債の将来から
ご存知の方も多いと思いますが、この文章はタイトルも含めて、昭和16年 大政翼賛会発行 『隣組読本 戦費と国債』の第六章 国債の将来から抜粋したものです。
もしよければ、google画像検索などで『隣組読本 戦費と国債』として検索してみてくだい。
最近、日本の財政破綻についての議論をよく耳にしますが、そこそこの経済知識があれば、ある・ない、どちらでも理由付けはできます。
だからこそ、この話はどのような立場の人から、どのような文脈で語られるかに注意しなければなりません。
消費税を上げたい政治家・官僚は、財政破綻の危機を煽りたいでしょうし、金融機関で外国債券を販売する営業マンも同様でしょう。
逆にちょっと変わったことを言って目立ちたい(本を売りたい・有名になりたい)評論家・作家などは財政破綻論者の矛盾をついて財政破綻など心配いらないと言うでしょう。
『隣組読本 戦費と国債』を見てもわかるように、政治家・官僚が本当に財政破綻についての危機意識を持っているなら、むしろ国債は安全ですというアナウンスが出てくると思います。そうでないのは彼らが本当の意味での危機意識を持っていないからです。
では、日本の財政は安心なのでしょうか?
もちろん、そんな単純なものではありません。
彼らが想定していない、いわゆる想定外の事態というのは十分起こりえると思います。
なによりも、私たちがマスメディアを通じて受け取っている政府発表や情報自体どの程度信用できるのかも不安です。
そのことを、昨年の原発報道やオリンパス報道で我々は十分に認識したはずです。
ですから今後、景気が回復し消費税の増税など税収が上がり、プライマリーバランスがプラスとなって財政健全化というシナリオもあれば、国債価格の急落、銀行破たん、日銀の国債引受け、ハイパーインフレというシナリオもありえると思います。
ただ恐ろしいのは、これからの日本を背負う若者に「破綻待望論」があることです。
今後、財政健全化のための増税や政府支出削減で苦しむのは彼らです。彼らが作った借金ではないのにです。
彼らは、金融資産など持っていません。財政破綻で失うものはありません。そして今の日本の延長線上に希望を見出せないでいます。
彼らが、高齢者が作った借金は、高齢者の預貯金で相殺して、俺たちにつけをまわすなと考えるのも無理ないでしょう。
財政問題は、世代間貧富の格差問題とリンクしています。
個々の高齢者が金融資産を守れるか、個々の若者が経済的自由を手に入れられるか、厳しい戦いの中にいることを十分認識した上で、この問題を考えなければならないと思います。
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